2014年10月24日金曜日

3Dテレビは早すぎたのか?

という面白いお題をコメントでもらったのでちょっと考えてみます。


 各メーカーともハイエンド機種以外どんどん3D機能を取り払って撤退ムードです。PS3でも3D対応ゲーム推してましたが、PS4では見かけなくなりました。3DSは3D機能をOFFにしてプレイしてる人が多いし、期待の3DAVも不発。僕らは立体だから興奮するのではなくそのシチュエーションに興奮してたのでした。

 とすると明らかに早すぎたし現時点でまるで成功していません。むしろ3DTVなんて必要だったのか? これからも不要なのでは? と疑うレベルです。最終的なゴールにスターウォーズのような3Dホログラム映像にもっていくため、それを研究してる人はたくさんいるから期待するとして、今考えるのは「これから3Dテレビはどうしたら売れるのか?」、「どういう映像を用意したらいいのか?」ということになります。


裸眼3Dへの取り組み


 3DTVには欠点がいろいろあって、まず「3Dメガネをつける」という一手間が加わるのはとてもめんどくさいので、裸眼3Dに期待したのですが東芝のそれや、任天堂3DSのぶれた画面はとても手軽な視聴に耐えられませんでした。最近出たNew3DSは顔の位置で3D画面を補正して激的にブレない画面へ向上しましたし、Amazon評価でも絶賛されています。

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 ただそれでもNew3DSは解像度の問題で3Dボリュームをオフにして2D画面にした方がよりクッキリして見やすいんですよね。ほとんどのゲームが3Dじゃなくても判断に充分な情報量をもってるので、画面がぶれなくなってもゲームによって好みは別れると思います。

 でもこの顔認識と裸眼視差バリアの組み合わせそのものはメガネ使うよりもずっと手軽なので、個人で見るTVに採用されるならありでしょう。ところでNew3DSみたいな顔補正+裸眼3DTVは発売してるのでしょうか?


3D映像の弱点


 3D映像の弱点として手前の飛び出した映像でカメラをパンすると立体が画面からはみ出た時の立体認識が崩れてしまいます。そのため画面枠に設置してなく、中央に浮いてるものだけが飛び出てそれ以外は奥行きとして作るのが3D映像の基本となります。が、これを守ってない映像ソースが沢山あって余計見づらくしています。ただそんなこと律儀に守ったらこれまでのカメラワーク技術や演出が全く使えなくて面白くない映像になるからです。


3Dに適した映像作りとは?


 簡単に言うと3Dと相性がいいのは動かない固定カメラで中の役者が飛んだりはねたりすること。現在のカメラカットが多数切り替わる映像ソースは3Dの認識においてやはり邪魔です。原因はカメラカットごとにズームがやたら切り替わるので、脳の3D認識はそのTVの枠だけ切り取って奥行きがころころ変わることを一瞬で追いつけなくて疲れるからです。認識が追いつかないと2Dと印象が変わらないのに疲れます。

 このルールを守る限りにおいて、例えばカメラが動かない画面固定の3Dゲームや、舞台演劇かつ固定カメラでの3D映像などとは相性がいいと思います。TVとは違いますが、IMAXシアターでの舞台演劇ライブビューイングなどがあれば、かなりこの条件に合うのではないでしょうか。その画面自体に奥行きのあるジオラマが存在しているというイメージです。


大画面も3Dもすぐ慣れる


 本来のマスターゲットから考えると「気軽に観たい映像」と「迫力の映画やスポーツ、ゲームの映像」に分かれますが、迫力の映像を観たい層も更に突き詰めると、3Dかどうかより演出のギャップやシナリオ、試合の展開に興奮するのであって3Dで大画面だから退屈な試合が面白くなるとか、2Dだから最高の逆転劇もあまり面白く無いということにはなりません。3Dそのものはすぐ慣れてしまいます。

 3D映像にはジオラマ固定カメラが最適だとしても、そんな鳥の視点だととてもこれまでの演出ができず美味しい場面を見逃したり、より面白くなくなります。しかし3D映像には固定カメラが最適です。この矛盾をどう解決するか? 実はみんなもうこの解決を体験してると思うのです。


 3D固定ジオラマと、2Dカメラ演出の融合


 そこで固定3D画面と、通常カメラワークの2D画面の合成映像にするわけです。

 歌手のライブ会場を考えてもらうといいのですが、5万人収容できるスタジアムで遠くに見えるリアル3Dの歌手と、会場のでかいライブ2Dモニターで歌手のアップやおいしいカットを両方見えるという構成です。

 つまり、サッカーだとフィールド全体の固定カメラとしての3D映像がTVに全体に映しだされ、そこに映るスコアボードのでかいライブ画面に通常の2Dカメラ映像が見えるようにする。こうすることでコンサートやライブ会場に行ったのとほぼ同じ視点で、3Dと2Dの両方の映像と情報量を楽しむことが出来ます。

この方法なら、人物が小さいとはいえこれまでのTV映像のカメラでは拾えなかったいろんな選手の動きもわかり、ジオラマ3D映像で推しメンのアイドルだけを追いかけることもでき、ライブのバックバンドも全部見えます。こんな映像があれば僕は絶対欲しくて買うでしょうし、ジオラマの人物は小さいので4Kなどの解像度が高い大画面映像ほど価値が上がり4KTVや8KTVも欲しくなります。


3D映像の価値は箱物ライブにある


 通常の映画やドラマではこの方法は使えません。本来の2Dカメラに映ってない全体像まで作らないといけないので、ちょっと現実的ではないですしそもそもジオラマ全体像なんて映したくないでしょう。もちろんそういうジオラマ固定3D映像と2Dカメラを前提としたオリジナルのシナリオや演出も舞台演劇として作れますが従来の映像作りとは全然違ってきますね。

 これからスターウォーズで出てくるような3Dホログラム映像なども開発されるでしょう。しかし、映画で使われたように主人公へのプライベートメッセージをいちいち3Dホログラムにする必要はありません。他人から丸見えにする必要もなければ、そんな情報量も要らないし、3Dホログラムを映す場所を大きくとるという問題まで発生します。これはTV電話が普及しなかったのと同じ理由で電話は音声だけで充分。むしろ伝える情報量は最低限にしたいのです。僕らはLINEやメールを全て映像メッセージにしたいわけではありません。

 なので、TVのニュースやバラエティ番組や映画も全部3Dホログラムで観たいかというとそういうわけでは無いのです。3D映像の価値はライブ映像やジオラマの再現、舞台演劇など、カメラが動かない箱物でかつライブ的な物が中心となるでしょう。


3D映像はTVや映画の延長で考えるのではなく、新しいライブメディアと捉える。


 TVという平面の映像を届ける利便性やカメラワークの方程式は成熟しています。今までのTVをそのまま3D映像にしましたというのは、メディアの進化としてラジオの収録スタジオをそのままTV映像で流すようなものです。確かに音だけより情報量は増えますがそのためにTVの前に座って映像を見なければいけないというスペースや余計な付加情報まで必要としてないのです。

 3DTVがここまでなぜ失敗したかというと、従来の2Dカメラワークをそのまま3D映像に延長する考え方がいけないのです。3D映像は別のメディアだと思うぐらいでライブ映像やジオラマ撮影に特化したような内容の情報量発展が望まれます。これから3Dホログラムへつながっていくとしても、映像ソフト面での主役は「箱物ライブ」を中心に広げて、それをこれまでの10倍や100倍の価値や数を売るぐらいのプロモーション戦略が必要と考えます。

以上が、僕の考える3Dテレビの映像戦略でした。

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